災害情報はスマートフォンでも確認できるため、「非常用ラジオは本当に必要なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
スマートフォンは、自治体の防災情報を確認したり、家族と連絡を取ったりできる重要な防災用品です。一方で、大規模な地震や台風などでは、停電や通信障害、回線の混雑などによって十分に使えなくなる可能性があります。
そのような場合に備えて用意しておきたいのが、乾電池などで使用できる非常用ラジオです。消防庁の非常用持出品チェックシートでも、携帯ラジオと予備の乾電池が持ち出し品として挙げられています。
重要なのは、スマートフォンとラジオのどちらか一方を選ぶことではありません。災害時に一つの手段が使えなくなっても情報を得られるよう、複数の方法を準備しておくことです。
この記事では、非常用ラジオが必要とされる理由やスマートフォンとの違い、防災用として選ぶ際のポイント、保管・点検方法について解説します。
非常用ラジオは災害時に必要?
非常用ラジオは、災害時に備えて用意しておきたい情報収集用品の一つです。
消防庁では、非常用持出品として「携帯ラジオ」と「予備の乾電池」を挙げています。また、内閣府も防災用品の例として携帯ラジオを紹介しています。
災害時には、テレビ、スマートフォン、防災行政無線、ラジオなど、複数の方法から情報を得ることが大切です。
例えば、大規模な停電が発生するとテレビを見られなくなる可能性があります。スマートフォンも、端末の充電がなくなれば使用できません。
乾電池式などのラジオを用意しておけば、家庭用電源を使えない状況でも情報を得る手段を残せます。
ただし、ラジオだけですべての災害情報を確認できるわけではありません。自治体から発表される避難情報やハザードマップ、家族との連絡などにはスマートフォンが便利です。
それぞれの長所を生かし、複数の情報収集手段を組み合わせて備えましょう。
スマホだけでなく非常用ラジオも備えたい理由
スマートフォンが普及した現在でも、非常用ラジオを用意しておく意味があります。
主な理由は次の4つです。
停電中でも使用できる
乾電池式や充電式のラジオであれば、家庭のコンセントから電気を供給できない状況でも使用できます。
災害で停電すると、テレビや家庭用Wi-Fiルーターなどが使えなくなる場合があります。
一方、ラジオは乾電池など別の電源を利用できるため、家庭の電気が止まったときの情報収集手段として役立ちます。
防災用品として準備する場合は、ラジオ本体だけでなく、対応する予備の乾電池も一緒に備えておきましょう。
通信回線を使わずに情報を受信できる
スマートフォンでインターネットを利用するには、携帯電話回線やWi-Fiなどの通信環境が必要です。
災害によって通信設備が被害を受けたり、アクセスが集中したりすると、インターネットを利用しにくくなる可能性があります。
ラジオ放送は、スマートフォンのデータ通信とは異なる仕組みで受信します。そのため、スマートフォンでWebサイトを確認しにくい状況でも、ラジオ放送を受信できる場合があります。
内閣府も、災害時の情報入手手段としてラジオ放送の重要性を紹介しています。
ただし、放送設備そのものが被災する可能性もあるため、ラジオだけに頼らないことが大切です。
スマートフォンのバッテリーを温存できる
停電が長引くと、スマートフォンを自由に充電できなくなる可能性があります。
スマートフォンは、
- 家族との安否確認
- 自治体からの情報確認
- 地図の確認
- 緊急連絡
- 災害用伝言サービスの利用
など、さまざまな用途に使います。
ニュースを長時間スマートフォンで確認すると、画面表示や通信によってバッテリーを消費します。
情報収集の一部をラジオに任せれば、スマートフォンの電池を連絡や必要な情報確認のために残しやすくなります。
モバイルバッテリーを準備することも重要ですが、スマートフォン以外の情報収集手段を用意しておくことも停電対策になります。
地域の災害情報を得られる場合がある
災害時には、全国的なニュースだけでなく、自分が住んでいる地域の状況を知ることも重要です。
地域によっては、NHKや民放ラジオのほか、地域密着型のコミュニティFMなどから、地域の災害情報が放送される場合があります。
例えば、
- 避難に関する情報
- 地域の被害状況
- 道路や交通に関する情報
- 給水に関する情報
- ライフラインの状況
などが伝えられることがあります。
自宅で受信できる放送局を平常時に確認しておくと、災害時に周波数を探す手間を減らせます。
スマホと非常用ラジオはどう使い分ける?
スマートフォンとラジオは、それぞれ得意とすることが異なります。
| 情報収集手段 | 主な用途 |
|---|---|
| スマートフォン | 自治体Webサイト、防災アプリ、地図、家族との連絡 |
| ラジオ | 停電・通信障害時を含む放送からの情報収集 |
| テレビ | 電気が使えるときの詳しいニュースや映像情報 |
| 防災行政無線 | 地域の避難情報や緊急情報 |
| 災害用伝言サービス | 家族の安否確認 |
災害時には、「スマートフォンがあるからラジオはいらない」と考えるのではなく、一つの手段が使えなくなった場合に備えて情報源を分散させることが重要です。
例えば、停電しても携帯電話回線が使える場合はスマートフォンが役立ちます。反対に、スマートフォンのバッテリー残量が少ないときには、ラジオでニュースを確認する方法があります。
状況に合わせて使い分けましょう。
非常用ラジオで確認できる主な情報
ラジオでは、災害発生後の状況に応じてさまざまな情報が放送されます。
例えば、次のような情報です。
- 地震の発生状況
- 津波警報・注意報
- 台風や大雨などの気象情報
- 避難に関する情報
- 被害状況
- 交通機関の状況
- ライフラインに関する情報
- 自治体や関係機関からの案内
気象庁も、地震や津波発生時には、テレビやラジオ、防災無線などから正しい情報を入手するよう案内しています。
特に津波の場合は、情報を待って避難するのではなく、強い揺れや長時間のゆっくりした揺れを感じた場合には速やかに安全な場所へ避難することが重要です。
ラジオを聞くために避難が遅れないよう注意してください。
非常用ラジオを選ぶときのポイント
防災用のラジオには、さまざまな機能があります。
機能が多い製品ほどよいとは限りません。災害時に迷わず使えるかを基準に選びましょう。
AM・FMを受信できるか確認する
防災用として使用するなら、受信できる放送の種類を確認します。
一般的には、AMとFMの両方に対応する製品を選ぶと、受信できる放送局の選択肢を増やせます。
また、AM放送をFMの周波数で聞けるワイドFMに対応した製品もあります。
重要なのは、購入したラジオで自宅周辺の放送を実際に受信できるかどうかです。
災害時に初めて電源を入れるのではなく、普段から受信状況を確認しておきましょう。
乾電池で使えるタイプは停電対策になる
防災用としては、家庭用コンセントがなくても使える電源方式を選びます。
例えば、
- 乾電池
- 内蔵充電池
- USB充電
- 手回し充電
などがあります。
中でも乾電池式は、予備の電池を用意しておけば交換して使用できる点がメリットです。
ただし、乾電池を長期間ラジオ本体へ入れっぱなしにすると、液漏れや腐食によって故障する可能性があります。
使用する製品の取扱説明書に従い、長期間使わない場合は電池を外して保管することも検討しましょう。
操作が簡単なものを選ぶ
災害時は、暗い場所や慣れない避難先でラジオを操作することがあります。
そのため、
- 電源の入れ方
- 音量調整
- 周波数の合わせ方
- 電池交換
などが分かりやすい製品を選ぶことが大切です。
高齢者や子どもも使う場合は、ボタンや表示が見やすいかも確認しましょう。
多機能でも、操作が複雑で使い方を思い出せなければ災害時に活用できない可能性があります。
スピーカーとイヤホンの両方を使えると便利
自宅で家族と情報を共有する場合は、スピーカーが便利です。
一方、避難所など多くの人がいる場所では、大きな音を出し続けると周囲の迷惑になる可能性があります。
イヤホン端子があれば、一人で放送を確認するときに音量を抑えられます。
イヤホンを使用すると周囲の音に気付きにくくなるため、避難中など安全確認が必要な場面では使用方法に注意してください。
ライト機能は補助として考える
非常用ラジオには、LEDライトを搭載した製品もあります。
一台で情報収集と照明の両方に使えるため便利ですが、ラジオとライトを同時に使用すると電池の消耗が早くなる場合があります。
防災用の照明はラジオだけに頼らず、懐中電灯やヘッドライト、LEDランタンなども別に用意しておきましょう。
手回し充電機能は必要?
非常用ラジオには、ハンドルを回して発電できる手回し充電機能を搭載した製品があります。
乾電池や内蔵バッテリーの残量がなくなったときに、自分で発電できる点はメリットです。
ただし、手回し充電だけで長時間ラジオを聞いたり、スマートフォンを十分に充電したりするには、継続してハンドルを回す必要がある場合があります。
そのため、手回し機能を「電池やモバイルバッテリーが不要になる機能」と考えるのではなく、予備の電源手段として考えるとよいでしょう。
基本となる電源を、
- 乾電池
- 内蔵充電池
- モバイルバッテリー
などで確保し、手回し充電は補助的に利用する方法があります。
購入した場合は、どのくらい回すと何分程度ラジオを聞けるのか、取扱説明書を確認しておきましょう。
非常用ラジオはどこに置く?
非常用ラジオは、災害時にすぐ取り出せる場所へ保管します。
例えば、
- 防災持ち出し袋
- 玄関付近
- 寝室
- リビング
- 職場の防災用品
などが候補です。
避難時に持っていくラジオなら、防災持ち出し袋へ入れておくと忘れにくくなります。
ただし、家族全員分の防災用品を一つの袋へ詰め込みすぎると重くなります。ラジオのサイズや重量も確認してください。
自宅に置く場合は、家具が倒れて取り出せなくなる場所や、高温多湿になる場所を避けましょう。
予備の乾電池も一緒に備蓄する
乾電池式のラジオを用意していても、電池がなければ使用できません。
消防庁の非常用持出品チェックシートでも、「携帯ラジオ」とともに「予備の乾電池」が挙げられています。
まず、ラジオが使用する乾電池の種類を確認しましょう。
- 単1形
- 単2形
- 単3形
- 単4形
など、製品によって異なります。
防災用品として複数の機器を準備する場合は、できるだけ乾電池の規格をそろえると管理しやすくなります。
例えば、ラジオ、懐中電灯、LEDランタンをすべて単3形乾電池対応にすると、予備電池を共用できます。
ただし、機器によって必要な本数や消費量は異なるため、それぞれ確認してください。
ラジオに乾電池を入れっぱなしにしてもいい?
長期間使用しないラジオに乾電池を入れっぱなしにすると、電池が液漏れして機器を傷める可能性があります。
内閣府の「一日前プロジェクト」では、災害による停電後に携帯ラジオを使おうとしたものの、入れっぱなしにしていた電池が腐食していて使用できなかったという体験談が紹介されています。
せっかくラジオを準備していても、必要なときに使えなければ意味がありません。
長期間使用しない場合は、ラジオの取扱説明書や乾電池メーカーの案内を確認し、必要に応じて電池を外して本体と一緒に保管しましょう。
予備の乾電池についても、
- 使用推奨期限
- 液漏れ
- さび
- 変形
などを定期的に確認します。
半年に1回を目安に動作確認する
非常用ラジオは、一度購入して収納したままにせず、定期的に動作確認しましょう。
春と秋など、半年に1回程度の防災用品の点検時に確認すると忘れにくくなります。
確認したい項目は次のとおりです。
- 電源が入る
- AM・FMを受信できる
- 音量を調整できる
- スピーカーから正常に音が出る
- イヤホンを使用できる
- 乾電池に液漏れがない
- 予備電池の期限に問題がない
- USB充電ができる
- 手回し充電が機能する
- ライトが点灯する
- 家族が操作方法を知っている
普段ラジオを聞かない人は、災害時に周波数の合わせ方が分からない場合があります。
受信しやすい放送局の周波数を紙に書き、ラジオと一緒に保管しておく方法もあります。
災害時のラジオ情報で注意したいこと
災害時には、正確な情報を確認することが重要です。
ラジオから得た情報についても、可能であれば自治体、気象庁、消防、警察などの公的機関から発表されている内容と照らし合わせましょう。
また、ラジオを聞くことに集中しすぎて避難が遅れてはいけません。
特に、
- 津波
- 火災
- 土砂災害
- 建物の倒壊
など、命に危険が迫っている状況では、情報収集より安全な場所への避難を優先します。
避難した後、安全を確保してから今後の情報を確認してください。
非常用ラジオと一緒に備えたいもの
ラジオ単体では、災害時の情報収集や連絡をすべてカバーできません。
次のものも併せて準備しておきましょう。
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 予備の乾電池
- 懐中電灯
- ヘッドライト
- 防災行政無線などの確認方法
- 家族の連絡先を書いたメモ
- 地域の防災マップ
停電や通信障害の状況は災害によって異なります。
複数の道具を準備し、そのとき使える方法を選択できるようにしておくことが大切です。
まとめ
非常用ラジオは、停電や通信障害などに備えて用意しておきたい防災用品の一つです。
スマートフォンは災害時の連絡や情報収集に欠かせませんが、充電切れや通信障害などによって十分に使えない可能性があります。乾電池などで動くラジオを準備しておけば、情報収集手段を一つ増やせます。
非常用ラジオを選ぶときは、AM・FMの受信、電源方式、操作のしやすさなどを確認しましょう。乾電池式の場合は、予備の電池も一緒に備える必要があります。
また、ラジオを購入しただけで安心せず、定期的に受信できるか確認することも大切です。乾電池を長期間入れっぱなしにすると、液漏れや腐食によって使用できなくなる可能性があります。
スマートフォン、テレビ、防災行政無線、ラジオなど複数の情報源を準備し、一つが使えない場合でも必要な情報を得られる状態にしておきましょう。
